『銀河鉄道の夜』に出てくるケンタウル祭というのはいつなのだろう。
イメージとしては夏の終わりから秋の初め頃だ。
学校が始まっているけれど、川遊びもできるのだからまだ寒くはない、9月初旬だろうか。
銀河鉄道の旅では「りんどうの花が咲いている。もうすっかり秋だねえ」というカムパネルラの言葉が出てくるので、9月中旬くらいかもしれない。
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子どもらは、みんな新しい折のついた着物を着て、星めぐりの口笛を吹いたり、「ケンタウルス、露を降らせ」と叫んで走ったり、青いマグネシヤの花火を燃したりして、たのしそうに遊んでいるのでした。
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ケンタウルス座は南半球の大きな星座で、場所にもよるが日本からは一部しか見えない。
南十字星の上にあるのだが、その南十字も、日本では沖縄の最南端の島にでも行かなければ見えない。
物語には、サウザンクロスの駅が出てくる。そこは天上へ行く通路らしかった。
たくさんの人がここで降りてしまい、汽車はがらんとして寂しくなった。
天上へ行く場所ですら、この銀河鉄道の終着駅ではないらしい。
カムパネルラはなぜここでは降りなかったのだろう、そしてどこへ行くのだろう。
「・・・あすこがほんとうの天上なんだ。あっあすこにいるのぼくのお母さんだよ」
カムパネルラは遠くのきれいな野原を指して叫んだ。
その場所は、ジョバンニには見えなかった.....
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「カムパネルラ、僕たち一緒に行こうねえ。」ジョバンニがこう云いながらふりかえって見ましたらそのいままでカムパネルラの座っていた席にもうカムパネルラの形は見えずただ黒いびろうどばかり光っていました。
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ジョバンニは、みんなのほんとうのさいわいをさがすために僕たちどこまでも一緒に進んで行こう、と言った。
そして「ああきっと行くよ」と答えたカムパネルラは、いなくなってしまった。
この孤独と喪失。はげしく泣きだしたところで、ジョバンニは元の丘の草地で目を覚ます。
銀河のお祭りらしいケンタウル祭がどんなお祭りなのかは最後までどうもよくわからない。アスパラガスの葉で飾られた星座早見盤やカラスウリの明かりなどが、不思議な詩情を醸し出している。
『銀河鉄道の夜』は何度も改稿されていて、ジョバンニがカムパネルラを見失ってから草地で目を覚ますまでのあいだに、ブルカニロ博士という人物との会話が入っている稿と、入っていない稿がある。
私が持っている一番古い本では入っている。この部分は味わい深くて好きなのだけれど、長くなるのでこのあたりの話はまた別の機会に。
2025年08月24日
ケンタウル祭
posted by Sachiko at 21:57
| Comment(2)
| 宮澤賢治
10代の頃とても好きでした
猫バージョンの映画アニメも
その映画音楽もすきでした
不思議なワードが多くて
そこも惹かれました
「ほんとうのしあわせ」
についていつも
いつも考えていたことを
いま思い出しました
「銀河鉄道の夜」の本を持っていき
花巻駅を通る頃に、大好きな
プリオシン海岸のあたりを読みました。