2025年12月06日

ブルカニロ博士・5

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そのひとは指を一本あげてしずかにそれをおろしました。
するといきなりジョバンニは自分というものが、自分の考えというものが、汽車やその学者や天の川や、みんないっしょにぽかっと光って、しいんとなくなって、ぽかっとともってまたなくなって、そしてその一つがぽかっとともると、あらゆる広い世界ががらんとひらけ、あらゆる歴史がそなわり、すっと消えると、もうがらんとした、ただもうそれっきりになってしまうのを見ました。だんだんそれが早くなって、まもなくすっかりもとのとおりになりました。
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この箇所は、「春と修羅 序」を思い起こさせる。
この詩をまた別の言葉で表しているかのようだ。


  わたくしといふ現象は

  假定された有機交流電燈の

  ひとつのい照明です

  (あらゆる透明な幽靈の複合體)

  風景やみんなといっしょに

  せはしくせはしく明滅しながら

  いかにもたしかにともりつづける

  因果交流電燈の

  ひとつのい照明です

  (ひかりはたもち その電燈は失はれ)

  それらも畢竟こゝろのひとつの風物です

  (すべてがわたくしの中のみんなであるやうに

   みんなのおのおののなかのすべてですから)


自分という存在が、他の全てといっしょに光っては消え、また光っては消え、それらすべてを包む大いなる時空もまたそのように光っては消え....

何度読んでもこれはもう、何か感想を述べようとすることもいらない、ただただそうあるとおりにあって、---すっと消えると、もうがらんとした、ただもうそれっきり---を感じるしかない。
 
posted by Sachiko at 16:06 | Comment(0) | 宮澤賢治
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