2025年12月18日

ブルカニロ博士・6

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「さあいいか。だからお前の実験は、このきれぎれの考えのはじめから終わりすべてにわたるようでなければいけない。それがむずかしいことなのだ。けれども、もちろんそのときだけのでもいいのだ。
ああごらん、あすこにプレシオスが見える。おまえはあのプレシオスの鎖を解かなければならない。」
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プレシオスの鎖とは何かについてはどうやら昔から各方面で論議の的らしいのだけど、結局はっきりしたことはわからない。
プレシオスはプレアデスのことで、旧約聖書のヨブ記に出てくるプレアデスの鎖のことだという説もある。

 あなたはプレアデスの鎖を結ぶことができるか
 オリオンの綱を解くことができるか(ヨブ記38-31)

プレアデスの鎖は解くのではなく「結ぶことができるか」と問われている。ヨブ記のこの箇所もさまざまな解釈があるが、本筋から外れるのでここではこれ以上追わない。

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そのときまっくらな地平線の向こうから青じろいのろしが、まるでひるまのようにうちあげられ、汽車の中はすっかりあかるくなりました。そしてのろしは高くそらにかかって光りつづけました。
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ここであらためて、ジョバンニがまだ銀河鉄道に乗ったままだったことに気づく。カムパネルラと入れかわりに現れた不思議な人物が語る話がずっと続いていたのだ。

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「ああマジェランの星雲だ。さあもうきっとぼくはぼくのために、ぼくのおっかさんのために、カムパネルラのために、みんなのために、ほんとうのほんとうの幸福をさがすぞ。」
ジョバンニはくちびるをかんで、そのマジェランの星雲をのぞんで立ちました。そのいちばん幸福なそのひとのために!
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みんなのほんとうの幸福とは何か、答はすでに問いの中にあるという。

“いちばん幸福なそのひとのために”
いちばん幸福な姿のジョバンニ自身、お母さん、カムパネルラ....
いつもいちばん幸福でいるその人を思うことの中に、すべての人の幸福を探そうというその意志と心情の中に、幸福の姿をしたものがきっと見出せるだろう。
  
posted by Sachiko at 14:00 | Comment(0) | 宮澤賢治
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