(グロリア・ヒューストン 文 バーバラ・クーニー 絵)
バーバラ・クーニーの絵による、これももう古典的なクリスマス絵本。

-----------------------
山奥の小さな村では、毎年交替で決まった家が教会にクリスマスツリーを立てるしきたりがあり、その年はルーシーの家が当番だった。
春、パパとルーシーは、山奥の崖のてっぺんに、ぴったりのバルサムモミの木を見つけた。
夏、パパは兵士になって、海の向こうの戦場へ行った。
ルーシーは毎晩、「どうか、パパをクリスマスまでにおかえしください」とお祈りをした。そして、サンタクロースがきれいなお人形を持ってきてくれるように願った。
秋、パパから、戦争が終わったのでクリスマスまでには帰れるという手紙が届いた。
けれどパパが帰ってこないまま、クリスマスイブまであと一日になった。
クリスマスツリー当番の今年は、ルーシーが劇で天使の役を演じることになっている。大きなそでのある新しい服を作らなければならない。
夜遅く、ママとルーシーはコートを着て、馬をそりにつなぎ、崖の上の、パパが選んだバルサムモミのところに行った。
斧とのこぎりで切り倒した木をそりに載せて尾根を下り、教会の前に木を立てた。
家に帰ったママはルーシーが眠ったあと、クリーム色の結婚衣装で小さいドレスを仕立て、絹の靴下で人形を作り、ルーシーの服の残り布で人形のドレスを作った。
夕方、ルーシーはドレスを着せてもらった。
クリスマスツリーのてっぺんには、小さな天使がいた。
劇が始まり、ルーシーが両腕を上げた姿は天使のように見えた。
サンタクロースがやってきて、子供たちはみんなプレゼントをもらい。ルーシーはさいごにツリーのてっぺんの天使の人形をもらった。
人々が教会を去りはじめたとき、サンタクロースが、ルーシーにはもうひとつプレゼントがあると言った。
サンタクロースの横に立っていたのは・・・
------------------------
クリスマスツリーのてっぺんには星を飾るのが一般的だけれど、少し古い時代には天使を飾っていたそうだ。
パパの代わりに木を切り倒して戻って来た時、夜が明け始めていた。
それから夕方までに、古いドレスからルーシーのドレスを作り、お人形とそのドレスも作ることができるのか...と思うけれど、時間がゆっくりと流れていた時代には、そんなこともできたのかもしれない。
それにその日はクリスマスイブなのだから、奇跡だって起こる。
このお話は、原作者の故郷であるアパラチアの山奥の村の、実際の風習に基づいて書かれている。
戦争があり、いろいろな困難があったにもかかわらず、温かなクリスマスが祝われたのだった。
