2024年05月31日

ラベンダーは青い

 ♪ ♪ ♪
 ラベンダーはあおい ランラララン
 
 ラベンダーはみどり
 
 ぼくがおうさまになったなら ランラララン
 
 きみはおきさきさまなのさ
 
   (『マザー グース』より 谷川俊太郎 訳)
  
 
 Lavender's blue, diddle, diddle,

  Lavender's green;

 When I am King, diddle, diddle,

  You shall be queen.

    ・
    ・

この詩は以前、ハーブとしてのラベンダーの話のところで紹介したことがある。

マザーグースは、イギリスでは Nursery Rhyme、Rhymeは押韻を踏んだ詩のことで、口承で伝えられ、歌は地域や家庭によってバリエーションがあったそうだ。

思えば日本のわらべ歌も、子供は耳で聞いて覚えるので、伝言ゲームのように少しずつ言葉が変わっていったり、地方によって違いがあることも多い。「花いちもんめ」の歌詞など、けっこう地域差があるらしい。


必ずしもマザーグースのすべての詩に「歌」として決まったメロディが付いているわけではないけれど、この詩はけっこう歌われることが多く、ディズニー映画『シンデレラ』の中でも使われている(歌詞が少し違っている)。




私はずっと昔、ラジオ番組でマザーグースの特集をやっていた時に聴いたことがあるのだが、ディズニー版の歌がどうも私の記憶と少し曲調が違う。

時間が経っているし記憶違いか...と思ったら、古い録音のものが見つかり、昔聴いたのはこちらのようだ。



いずれにしてもシンプルできれいな曲だ。
ところでこの話はどのカテゴリに入れようか...
ラベンダーはハーブの女王と呼ばれているので、とりあえずハーブに入れておこう。
マザーグースネタが多くなればそのうちカテゴリを作るかもしれない。
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〈 Lavender's blue 〉 https://fairyhillart.net/gallery1.html

lavenderblue1.jpg
  
posted by Sachiko at 21:36 | Comment(2) | ハーブ
2023年07月02日

ヨモギの話・2

キク科の花は小さな花序がひとつに統合された複合花で、その統合力は人間の精神性に対応する高次の能力だという。

花は人間の魂と深い関わりがあるが、ヨモギは他のキク科の花のような目立った花を咲かせない。
ヨモギの魂は花ではなく葉にあり、花のように香るのは葉で、そこには月の諸力が働いているそうだ。


地球上の植物は、太陽だけでなく月や星々とも深い関係性を持つ。
香りも色も、見えない世界とのつながりや法則性があることを、昔の錬金術師や魔女と呼ばれた賢女たち、シャーマンたちは知っていたはずだ。
日本でもヨモギをモグサとして治療に使ったり、その薬効は古くから知られていた。

現代科学は、全てを切り刻んで「分析」することでわかったつもりになり、全体性との「つながり」を見失った。
しかも対象とするのは物質だけで、背後にある靈的魂的なはたらきは排除されている。


摘み草の楽しみは現代では失われてしまったけれど、香るヨモギの葉を餅などに入れて味わい春を感じることは、無意識的にでも宇宙とつながる喜びだったのだと思う。

季節の巡りとともにそうした暮らしを営む人間には、不思議な魂の安定感があった気がする。
暮らしというものは、本来深く尊かったのだ。
posted by Sachiko at 14:32 | Comment(2) | ハーブ
2023年06月11日

ヨモギの話

和ハーブの代表格、ヨモギ。
去年、休眠期のヨモギの根が10本500円で売られているのを見つけて買ってみた。
とても細くて小さく、心もとない根に見えたので、とりあえず何本か芽を出せばいいと思い、雪が降る前にあちこちに埋めた。

春、小さな芽が3つほど出ているのを見つけた。無事に越冬したものもあるらしい、よかった、と思ったのだが....

野草の生命力を甘く見ていた。
その後、気がついたらあちこちでとんでもなく繁ってきている。狭い場所で地植えしてはいけなかったのだ。慌てて鉢やプランターに植え替えた。

yomogi.jpg

そのヨモギに関する興味深い本がある。
『月とヨモギ−女性性に寄り添う薬草−』(涼風書林)

ヨモギは他のキク科植物と違って虫媒花ではなく、イネ科のように風媒花だそうだ。これは知らなかったが、そもそもヨモギについてそれほど関心を持ったことはなかった。

「・・・風による受粉は、虫を誘う豪華な花被がなくてもいいのです。風媒花の受粉では、空気・光の要素が植物生命の中に深く入り込み、花ではなく葉の中に至ります」(本文より)

本来花になるはずの要素が葉の領域ではたらき、ヨモギの葉はすばらしい香りを持つ。

誰もが知っているありふれた野草や雑草が、実は多くの優れた効能を持っていることが近年注目されているようだ。
ヨモギは、化学合成の(得体の知れない)抗がん剤よりもはるかに安全で効果的だとも言われている。


ヨモギ属の学名はアルテミシア、月の女神アルテミスから来ている。
ヨモギの話は1回で終わりそうもなくなったので、続きはまた近いうちに。

家のヨモギは何度か葉先を摘んでヨモギ味噌を作った。
 
posted by Sachiko at 22:36 | Comment(2) | ハーブ
2023年01月19日

エキナセア

少しばかり喉の痛みを感じて、風邪かな...熱はないし、例のヤツではなさそうだ。とりあえず喉に効くエキナセアのお茶を飲んでおこうと思った。

数回飲んで痛みは軽くなり、ほとんど気にならないほどだが、ハーブにそれほどの即効性はないはずだ。
最初から大したことではなかったのだろう。

echinacea1.jpg

一頃は30種類ほどのハーブを植えていた。
その後、薬用ハーブはプロが栽培したもののほうがいいのかもしれないと思ったので、今は半分くらいに減っている。

最近、やはり作物はなるべく自分の近くで採れたものがその人の栄養になるのだという話を聞いた。自分のところに届くまでのプロセスが多いほど、栄養は少なくなるのだとか。

たしかに昔から、身土不二という言葉がある。単に輸送に時間がかかって鮮度が落ちるというだけの話ではないらしい。

自分の畑で収穫してすぐ食べるのが一番だ。
野菜もハーブも、自分を育ててくれた人の役に立ちたいのだ。

そうして自分や家族のための薬草園を管理していた女性たちが、あるとき魔女にされてしまった....と、想像が遠くへ飛んでいく。

土地がなければベランダでも、鉢植えのハーブは育てられる。
パセリやタイムなど、料理用ハーブを少しばかり植えて、必用な時に摘んで使う。
そんな日常が、“自分自身の”暮らしになる。

真夏に咲くエキナセアやセントジョンズワート(冬場の鬱に効く)が、真冬に活躍することも、自然の素敵な采配だ。
  
posted by Sachiko at 22:41 | Comment(6) | ハーブ
2020年07月08日

メドウスイート

メドウスイート(meadowsweet)、和名はセイヨウナツユキソウ。

meadowsweet1.jpg

メドウスイートはその名の通り甘い香りがして、飲み物の香りづけに使われる。
白い泡のように見える花は、やはり飲み物に使われるエルダーの花にも似ている。

ハーブとしての薬効は、抗炎症作用や鎮痛作用があり、イギリスではかつてヘッジロー(生垣)のハーブとして定番だったという。

昔の人々にとって、夏に草地で出会う輝くような白い花と甘い香りは嬉しかったことだろう。

我が家のものは草丈1.6メートルほどになり、大小さまざまな蜂がやって来ている。
蜂たちもこの花が大好きだ。
  
posted by Sachiko at 20:54 | Comment(0) | ハーブ